悩み事典約11分TOPIC / 集客と問い合わせ

「検索の93%がクリックされない」で、自社の集客まで決めない

「検索の93%がクリックされない」で、自社の集客まで決めない

検索した人のほとんどが、どのサイトも開かずに終わる。 そんな話を読んだ直後に自社のアクセス画面を開くと、下がった線が全部AIのせいに見えてきます。 記事を増やしても無駄なのか。 これまで積み上げたSEOをやめたほうがいいのか。 個人事業主なら、次に使う時間とお金の判断まで揺れます。

ただ、数字から自社の方針へ飛ぶ前に、確認したいことがあります。 その数字は、どの検索画面で、誰の行動を、何として数えたものなのか。 ここが抜けると、変化に備えるつもりで、まだ働いている集客経路を自分で細くしてしまう。

この記事の元になった素材では、93%はGoogleのAI Modeに関する数値として登場していました。 それを検索全体の数字に広げることはできません。 さらに、今回確認できた一次資料では、その93%の調査条件を確定できていないため、本記事では現状を示す統計として採用しません。 強い数字を残すことより、自社に関係する変化を見分けることを優先します。

見たいのは、サイトに来る前に、お客さんがどこまで判断しているかです。 AIの回答で疑問が解けることもあれば、そこで候補を知って、公式サイトで料金を確認することもある。 クリックの有無だけでは、この違いが消えてしまいます。

同じ「クリックなし」でも、失ったものが違う

たとえば、これは説明のための仮例です。 「エアコン掃除の目安」を調べた人が、検索画面の説明を読んで閉じる。 「土日に来てもらえる近くの清掃業者」を探した人が、店の電話番号を見て連絡する。 「この業者に頼んで大丈夫か」を調べた人が、比較を読んで別の日に会社名で検索し直す。

どの行動も、最初の検索から自社サイトへのクリックが発生しない場合があります。 でも、商売への意味は同じではありません。 最初は情報収集がそこで終わっただけかもしれない。 次はサイトを経由せず相談につながっているかもしれない。 最後は、まだ比較が続いている。

ここを全部「見込み客を失った」と数えると、対策の向きが変わります。 用語解説の閲覧が減ったのに、商談が減った前提でサイト全体を作り直す。 電話が増えているのに、ページ閲覧だけを回復させようとする。 本当は予約フォームが使いにくいのに、AI引用を増やす施策を買う。 数字を見ているようで、途中の行動を見ていない状態です。

もちろん、クリックの減少を軽く扱っていいわけではありません。 比較記事や事例を読まれて初めて良さが伝わる商売なら、訪問が減る影響は大きい。 広告収入が中心のサイトなら、読まれる回数自体が収益に直結します。 同じ検索の変化でも、情報を読ませて収益を得る事業と、訪問後の相談で仕事になる事業では、守る場所が違う。

だから最初に、自社は何が減ると困るのかを言葉にします。 記事の閲覧なのか、料金ページへの到達なのか、相談なのか、受注なのか。 ここを決めるだけで、世間の大きな数字と自社の困りごとの間に距離ができます。 その距離があるほうが、落ち着いて手を打てるんです。

アクセスを捨てずに、その手前を見る

AIの答えを確認する意味は、アクセス解析の代わりを探すことではありません。 アクセス解析で見えている変化の、手前を観察することです。

Googleは、AI OverviewsやAI Modeにも既存のSEOの基本が関係し、特別な追加要件はないと説明しています。 また、これらの機能からの実績はSearch Consoleの検索タイプ「ウェブ」に含まれます。 この説明だけから、あるページのクリック減少をAI機能の影響と断定することはできません。 Googleの公式資料は、検索の基本を捨てる根拠にはなっていない。 ここは押さえておきたいところです。

実際に見るときは、サイト全体の折れ線一本で終わらせず、仕事につながっていたページへ降ります。 サービスページなのか、悩みの解説記事なのか、自社名で見られる会社概要なのか。 同じページで、表示される回数とクリックされる回数、問い合わせの動きを合わせて見ます。

表示も減っているなら、検索需要や順位、ページの状態なども候補になります。 表示はあるのにクリックが減っているなら、検索画面の変化や、タイトルと探している内容のズレを調べる理由ができます。 クリックは保たれているのに相談が減ったなら、料金、対象者、フォーム、営業対応まで見たほうがいい。 これは原因を確定する表ではなく、次に調べる場所を絞る考え方です。

季節によって需要が変わる商売なら、直前の月だけとの比較では読み違えることがあります。 記事を更新した日、広告を止めた日、営業時間を変えた日も関係します。 何もかもAIという一つの理由に入れない。 自分の側で起こした変更も、同じ画面の横に置いておく。 地味ですが、ここを省くと改善したつもりで違う場所を触ります。

自社名、悩み、比較で、見えるものを分ける

次に、AIの回答を実際に見ます。 入口は、自社名を含む質問、地域や悩みから候補を探す質問、比較の質問。 この三つは、確認のために分けるもので、これだけで露出全体を診断できるわけではありません。

自社名では、基本情報の正確さを見ます。 何をしている会社なのか。 どこまで対応するのか。 現在も提供しているサービスなのか。 同名の別会社と混ざっていないか。 回答の文章が自然でも、住所や事業内容が違えば実務では使えません。

地域や悩みから聞くときは、会社名を入れないことが大切です。 会社名を入れてから「おすすめですか」と聞けば、こちらが候補を教えている。 それで名前が出ても、知らない人に発見される状態とは違います。

仮に「大阪で清掃業者を探しています」だけなら、条件が広すぎます。 退去前なのか、営業中の店舗なのか、家庭のエアコンなのかで、頼む先が変わる。 実際のお客さんが相談で伝えてくる条件を使ったほうが、自社がどんな仕事の候補になるかを見やすくなります。 ただし、自社に都合のよい条件だけを足して、出るまで質問を作り込むのは別の作業です。

比較では、会社名が出たかより、何を理由に違いを説明したかを読みます。 料金が安いと書かれているなら、その根拠はどこか。 対応が早いと書かれているなら、公開情報にそう判断できる条件があるか。 自社を褒めてくれているから正しい、とは限りません。 実際には提供していない対応を推薦理由にされたら、問い合わせ後の食い違いが増えてしまう。

回答に出典リンクがあるときは、元ページを開いて該当箇所を確認します。 リンクが付いていることと、説明の全部がそのページで裏づけられていることは別です。 引用先が古い場合も、本文の結論と違う箇所を参照している場合もあるので、見出しだけでは判断しない。 ここまで見て初めて、直す情報が具体になります。

名前が出ないだけでは、原因は決まらない

自社名が出なかったときに、すぐ「情報不足です」と決めないほうがいい。 検索が行われていない回答かもしれないし、その質問では別の条件が優先されているかもしれない。 ページへ到達できない、古い情報が参照されている、同名企業と混ざっているなど、調べる候補は複数あります。

逆に、名前が出ても、そこだけで完了にはできません。 候補の列に名前だけ出る状態と、自社の公式ページが根拠として示される状態は違います。 さらに、根拠として紹介されても、対象者や料金を誤って説明されていれば修正が必要です。 露出と正確さを別々に見ると、喜ぶべき変化と直すべき変化が混ざりません。

記録は複雑にしなくていいです。 聞いた文章、使ったサービスと機能、確認日、出た会社名、出典のURL、気になった説明を残す。 前の会話で自社の情報を教えていないかも確認します。 同じ言葉を使っても、会話の流れが違えば比較の条件が揃いません。

一度の回答は、そのときの観察です。 回答が変わったことを見つけたら、すぐ改善効果と名付けず、同じ条件で改めて確認する。 毎回違う聞き方で良い回答だけを集めても、自社が見つかりやすくなったかは分からない。 欲しいのは、褒められた画面のコレクションではなく、次に直すための記録です。

足すのは、AIに好かれる言葉より判断材料

調べた結果、対応範囲が曖昧に伝わっていたとします。 そこで「地域密着」「柔軟に対応」「お客様第一」を増やしても、読者が知りたい範囲は分かりません。 どの地域が通常対応で、遠方はどう相談するのか。 何の作業が含まれ、どこから別途確認になるのか。 実際の提供条件を公式ページに書くほうが、修正の意味があります。

料金も同じです。 一律の金額が出せない商売なら、無理に数字を置く必要はない。 作業範囲、広さ、設備の状態など、何で見積もりが変わるのかを説明する。 現地でしか決められないことは、現地で決めると書く。 公開できない事情まで全部出すのではなく、相談前の人が誤解しないところまで出せばいい。

比較で違いが伝わらないなら、他社を下げる文章を増やすより、自社が向いている条件を具体にします。 短納期の依頼が得意なのか、事前の打ち合わせを重ねる案件が得意なのか。 小さな作業を頼みたい人に向くのか、継続管理をまとめたい人に向くのか。 向いていない依頼も書けると、読む側が自分で選びやすくなる。

修正先は、まず公式サイトの該当ページです。 同じ説明を外部へ増やす前に、正しい情報を参照できる場所を一つ作る。 古い料金ページと新しいFAQで説明が食い違えば、発信するほど迷いが増えます。 新しい記事を出すより、古い説明を直すほうが先のこともあるんです。

修正したからといって、次の回答へすぐ反映されるとは限りません。 AI側の検索や選択は自社で決められないからです。 それでも、公式情報が正確になれば、訪れた人の判断や営業での説明には使える。 ここを成果として持ちながら、回答の変化は別に観察する。 制御できる作業と、保証できない結果を分けておくと続けやすくなります。

もう一つ、問い合わせを受ける側でも記録できます。 お客さんがどこで知ったかだけでなく、問い合わせ前に何を確認したかを、会話の流れで聞く。 検索だった、AIだった、知人の紹介だったという入口と、最後に申し込む判断をした場所は違うかもしれません。 聞き方を決めつけると答えを誘導してしまうので、「AIを見ましたか」から始めず、普段の相談の中で確認するのが自然です。

ここで得た言葉は、アクセス解析の数字と完全に一致しなくても構いません。 人は見た順番を正確に覚えているとは限らないし、別の端末から見直すこともあります。 一人の記憶から流入経路を断定せず、複数の手掛かりとして扱う。 そのうえで「料金の条件が分からなかった」「対応できると思っていた」という言葉が重なるなら、その説明は優先して直す理由になります。

AIの回答ばかり追って、実際のお客さんの言葉が置き去りになったら順番が逆です。 検索画面でどんなに良く説明されても、相談した人が同じところで迷っているなら、公開情報か案内のどちらかにまだ穴がある。 自社で確かめた回答と、実際の問い合わせで出た迷いが重なる場所から手を付ける。 これなら、小さな事業でも限られた時間を使う理由を説明できます。

最初に残すのは、不安ではなく一件の食い違い

もし今日動くなら、自社の主要サービスを一つ選んで、そのサービスを探すお客さんの質問を一つだけ書いてみてください。 AIの回答を保存し、公式ページと並べる。 名前が出るか、説明が合っているか、根拠がどこにあるかを見る。 その中で、仕事を頼む判断に関わる食い違いを一件選びます。

住所のような基本情報の誤りなら、正本の表記を確認する。 対象者が曖昧なら、サービスページの対象条件を直す。 料金の誤解なら、見積もりが決まる流れを書く。 何も見つからなければ、無理に問題を作らず、今回の回答を基準として残せばいい。

「検索の何%が終わったか」を自社で確かめるのは難しい。 でも、自分の会社がどこで誤解されているかは、現物に降りて調べられます。 アクセスを見て、回答を見て、公式情報へ戻る。 その往復を一件やることが、この記事を読んだ後の最初の一手です。

参考資料

Google Search Central「AI features and your website」。Google検索のAI機能の掲載要件、SEOとの関係、Search Consoleでの計測範囲を確認。2026年9月9日閲覧。 https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features